なぜ木造なのか?
近年、ストレスの多い社会の中、人の自然回帰への思いは強まる一方です。 木は不快な音や振動、湿気を吸収し、紫外線の吸収力が強いことから、人の目や耳に優しい素材と言われています。 最近の研究では木目そのものに精神を安定させるリズム機能が発見され、さらに、断熱性が高く適度な弾力があるた め肌触りがよいということも科学的に解明されました。多くの木質の材料がよく使用されるにもこうした背景があり ます。

  • 1.湿気調節のはたらき(機能)
    木造住宅は木材が湿気を調節する働き(吸放湿性)があるので、室内の空気が湿ってくると、木材が湿気を吸いとっ て、湿度を下げてくれるからである。それからもし反対に、空気が乾いてくると、木材の水分を放出して、室内の湿 度を高めてくれる。このため、ことに湿気の多いこの地方の住宅素材としては、木材が一番適しているといえる。

  • 2.光を柔らげ、穏やかな材色
    木材は、紫外線を吸収し光を和らげてくれるので、目が疲れない。また、木材は色が穏やかなので、心をなごませるは たらきがある。日本人に木の住まいがふさわしいのは、このためと思われる。とくに、档(アテ)や檜、松、欅(ケヤキ)などの 木材は、それぞれ独特の優雅な色調を持っているため、昔から広く好まれてきました。

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  • 3.優れた保温性
    木材には、熱を伝えにくい性質がある。水の熱伝導率を1とした場合、木材は0.5、鉄は105である。したがって木 材の熱伝導の速さは、水の半分、鉄の200分の1しかない。つまり、それだけ木材は熱が伝わりにくく、保温性が優れ ているのである。木造住宅は、夏は涼しく、冬は暖かく、住み心地がよいと言われるのはこのためなのです。

  • 4.吸音性があって柔らかな音
    コンクリート造の家では音の反射がひどく、ちょっとした音でも大きく響く。ところが木材は、多孔質であるため比較的 吸音性があって、反射音や高い音を柔らげ、静かな環境を作るのに最適です。

  • 5.軽くて強い
    建築素材の強度を見るのに、引張り強度と圧縮強度がある。引張り強度で強いのは鉄だが、同じ重量あたりでは、スギは 鉄の約4倍もある。また、圧縮強度で強いのは花崗岩(御影石)、大理石、コンクリートなどであるが、やはり重量あたり の強度ではスギがこれらの約10倍もの強さを持っている。このことから、スギなどの木材は他の材料に比べて軽い割に 強度があり、建築構造材として適している。また、木造建築物は軽いので、基礎工事費が割安になる利点もあります。

  • 6.耐久性がある
    木材は、一般に腐りやすいと考えられているようである。ところが、雨漏りや湿気さえ防げば耐久性は抜群で、鉄やコン クリートよりも長持ちする。木材は切り倒されてから200〜300年までの間に伐採持よりも強度や堅さが増すと言われてい る。法隆寺が一部修理をしたとはいえ1,300年以上も保っていることは、その証拠ともいえます。

  • 7.耐火性
    木材は燃えやすいと思われているが、断面が大きくなるほど燃えにくくなり、燃えたとしてもそのスピードは分速0.6ミリ メートルほどしか進まず、しかも有毒ガスがでない。摂氏500〜800℃で曲がってしまう鉄や、溶ける温度がさらに低いアル ミニウム等に比べて、ずっと安全な建築材料なのです